経絡の認識

二千年前にできた中国医学の書物の一つ「霊枢」には経絡が正常な時と病気の時の定義が二通りが述べられています。

正常な時は全身を隈なく端のない環のように連続して巡り、人体の生命維持活動を行っている。
病気の時は、病気の原因が内因、外因、不内外因のいずれであっても病気は経絡にとりつくと。
したがって経絡で病気を診断して経絡で病気が治療できると定義をしてます。

この経絡を利用していろいろな治療法で疾患を治癒に結びつける事ができますが当院の経絡の認識とアプローチの仕方を簡単な症例を通して述べたいと思います。

右下腿後面の疼痛(三日前から安静時+)
まずはどの経絡が病んでいるか入江式FTで把握、腎経、膀胱経などの中で膀胱経が一番病んでいた。つまり下腿後面の疼痛は足の太陽膀胱経の流れが滞っているのでありこの経絡の流れを良くすれば疼痛が緩和されるのである。

経絡の流れを良くする方法。
①病んでいる経絡上のツボを利用する、足の太陽膀胱経なので委中穴など。
②同名経の経絡(太陽系)を利用、手の太陽小腸経の小海穴など。
③上下左右、表裏関係のバランスを調和させるため左手の少陰心経を利用。もちろん病んでいる経絡の流れを良くするためにはその他のアプローチもあります。

この三つの中からどの経絡、経穴を利用すれば一番効果的かを判断するため磁石を使います。経絡、経穴は磁石など多種にわたって反応するので予備の治療ができるのです。この時は手の少陰心経の少海穴に磁石を置いたときFT(フィンガーテスト)で調べると足の愁訴部と膀胱経の反応が一番とれていたので、少海穴に10分間置鍼と台座灸を一個すえ、患部などには手をつけず治療を終える。翌日からは疼痛は消失、日常生活に支障なく過ごせれる。

患部とは全く関係ない処に鍼灸治療を行い治癒することで、身体には経絡という流れがあることが認識、実感できますが先人たちの観察力や能力には感嘆させられます。

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